2008年8月11日月曜日

時が経ったって。


「いってらっしゃい」とか

「いってきます」とか

「ばいばい」とか

「明日ね」とか。


誰かとの何気無い別れ際。

もしかしたらこれが最後になるかも知れない

なんて、誰も思わない。


だけど本当は、

また必ず会える事が当たり前なのではない、

という事。


もうすぐ8月12日。

一瞬にして520名の命を奪った

「日本航空123便墜落事故」

から23年が経つ。


今年は8月12日を迎える前にもっと色々知っておきたいと思い、

今日『墜落遺体』(飯塚訓著)を読んだ。


著者は当時遺体確認捜査の責任者として

遺体回収・検屍・身元確認の現場の指揮に当たっており、

その中で直面した出来事を事細かに記録してある。


読み終えても表現するに足る言葉がなくて、

自分の身に置き換えただけで何だか思考が停止する。


墜落中のパニックの中、残して行かなければならない家族へ

メモ書きを残している男性のエピソードが強烈に残っている。


家族が、愛する人が、大切な人達が突然目の前からいなくなる。


何も告げずに触れられない所へ行ってしまう。


そんなの考えられない。


中には、

これが本当に人間に起こりうる事実なの?

と目を覆いたくなる描写が多々あり、

実際に途中何度か本を閉じた。

何よりも物凄い悲しみが渦巻いていました。

だけど読むのを辞めたいとは思わなかった。

知っていなきゃいけない事がもっとある気もする。



いつか読んだ9・11テロの関連の本の中にも

今でも忘れられない遺族の言葉があります。


〜あの日、「いってらっしゃい」の代わりに

きつく抱き締めていれば良かった。〜


〜「あいしてる」と一言、なぜ言えなかったのだろう。〜



そして、中でも特にハッとさせられた一行がある。


〜‘明日出来る’事なら、

それは‘今日’だって出来たはずなのに。〜



事故に遭うのが悪い偶然なら、

今日を無事に終えられる事は

良い偶然に過ぎないなって、

心からそう思った。



いのち。


私たちの存在は奇跡だ。


沢山の言葉を並べるよりも、

感謝を忘れずに生きていかなきゃと言う気持ちでただただいっぱいで

今はそれ以上が出て来ない。