2007年4月3日火曜日

春のお話。



春の訪れを、何で感じますか?
暦?気温?さくら?

私は、匂い。 それも少しさみしい匂い。
10年前から、私にとって春の匂いはちょっぴりさみしい匂い。

今から10年前の春に、大好きだった祖父が他界した。
一緒にお買い物に行ったり旅行に行ったりする程私はおじいちゃんっこだった。

肝臓を患った祖父は入院の間、
家族の応援とともに精一杯命を繰り広げて生きたけれど、
幾度目かの引き潮のときに、
桜とともに空に舞い上がった。

息を引き取る前にとっても素敵なプレゼントを置いていってくれたんです。

「はるはるや 桜の行進曲」 

力弱い腕で、紙にその言葉を書き残し、
「はるはる、は、桜が散っていく様子も表しているんだ」
とゆっくり一生懸命説明してくれた。

悲しさに似つかわしくない程空が美しく、
太陽も柔らかくてそよ風の心地よい、
そんな、きれいな春の日でした。

10年経った今でも、 あの時の空気は今も鮮明に私の中に焼きついて離れない。
だからかなあ、春は涙もろくなってしまう。
今朝、とってもきれいな春の訪れを嬉しく思ったけれど、
歩きながらやっぱり鼻がつんとした。

いま、手の中にある大切なものを、手離したくなくて、 強く強く抱きしめたくなる。
仲間も、愛しい人も、思い出も、好きな歌も、 宝物がうんと大切に感じる季節。
何だか涙が出そうです。